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【静岡茶 品種】地元の元お茶農家が解説!静岡のお茶の種類には何がある?【定番から新品種まで】
静岡と言えばお茶、お茶と言えば静岡!
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全国有数のお茶処 静岡県では様々な品種のお茶が栽培されています。
今回は特に静岡茶の品種について、その現状や今注目されている新品種などについて解説していきたいと思います。
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そもそも「お茶の品種」とは?
まず基本的な定義として「お茶の品種」について確認しておきましょう。
お茶は「お茶の木(チャノキ)」の葉や茎を加工して作られる飲み物ですが、その「チャノキ」についてまずWikipediaで調べてみましょう。
チャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である。加工した葉(茶葉)から湯・水で抽出した茶が飲用される。
チャの木あるいは茶樹とも記され、単にチャ(茶)と呼ぶこともある。
原産地はインド、ベトナム、中国西南部とされるが詳細は不明。
茶畑での栽培のほか、野生化した樹木を含め熱帯から暖帯のアジアに広く分布する。
一部抜粋:Wikipedia
ツバキの木と同類に属する事は意外と知られていないかもしれませんが、そう言われれば葉の形が似ている気がしませんか?
チャノキは葉の大きさ・木の高さなどの特徴から「中国種(小葉種)」と「アッサム種(大葉種)」の2系統に大別されています。
中国種(小葉種):葉が小さい / 木が低い( 0.9-5.5 M)
アッサム種(大葉種):葉が大きい / 木が高い( 8-15 M)
一部抜粋:All About グルメ
普段皆さんが飲んでいる日本茶・静岡茶はどちらに近いでしょうか?
お察しの通り日本の緑茶は基本的に左の中国種に分類されます。
アッサム種は酸化酵素の活性が非常に強く発酵しやすいため、紅茶に適しており、北東インドのブラマプトラ河の両岸に広がるアッサム平原は、世界最大の紅茶産地として知られています。
そして、中国種のなかでより細かい特徴による識別によって「やぶきた」、「べにふうき」、「つゆひかり」などの品種があるという訳です。
静岡で作られている「お茶の品種」の特徴は?
では実際に静岡で作られているお茶の品種はどのようなものがあるのでしょう。
静岡茶限定では詳細な品種別のグラフがありませんでしたが、全国の品種別割合が農林水産省から発表されていました。
一部抜粋:農林水産省
昭和30年代以降に品評会で高い評価を得たことを背景として、茶園面積の75%を「やぶきた」が占めています。
静岡県農林技術研究所によると、特に静岡県内ではよりこの傾向が強く、なんと90%以上もやぶきたで占められているそうです。
「やぶきた」は1908年、静岡の杉山彦三郎によって選定され、竹やぶの北側で見出されたことからこのような名が付きました。
今でもやぶきたの原樹が静岡の草薙駅近くにあり、静岡県の天然記念物に指定され、樹齢は100年を超えています。
やぶきた原樹
静岡県指定天然記念物
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静岡発祥の品種「やぶきた」である為、静岡茶はよりやぶきたの一極集中の傾向が強いという印象ですが、その他にはどのような品種が作られているのでしょうか。
その種類と特徴を簡単に表にまとめてみました。
品種 | 特徴 |
やぶきた | 栽培面積75%以上を占める品種。味も高品質で、育てやすく殖やしやすい。濃厚な甘みとスッキリとした香りが特徴。適度な甘みや渋みがあり、香りやコクも楽しめる優秀な品種。煎茶から玉露まであらゆる種類のお茶ができる。 |
ゆたかみどり | やぶきたに次いで全国で良く栽培されている品種。やぶきたよりも収穫時期が早い早生品種で収穫量が多く、炭そ病にも強いと言う特徴があるものの、耐寒性には弱いので鹿児島などの南国で好んで栽培されている。 |
おくみどり | 晩生品種の中で最も高い支持を得ている品種。大きな欠点がなく、煎茶から玉露、碾茶まで緑茶に対して幅広い適性を持ち合わせているのが最大の特長。大きな個性は無く、良い意味でクセが無くブレンドにも向く品種。 |
さえみどり | 名前の通り冴えた鮮やかなグリーンの水色と、上品な香り、渋みが少なく、旨み(成分)が非常に多いというのが特徴。昨今の高級茶の代名詞となった高級品種としても知られる。日本茶アワード等の品評会で多数入賞の実績あり。 |
おくひかり | 「やぶきた」より五~六日遅い晩生種であり、温和で丸みのある味わいとハーブを思わせるような香りが特徴。味わいも強く、鼻立ちのハッキリした品種。耐寒性があり、静岡県の山間地で栽培されている。 |
ごこう | 京都生まれの碾茶・玉露用品種。揮発性の特徴ある香気をもち優秀、玉露の出品茶用として多用される。京都・福岡・静岡などで栽培されている。 |
べにふうき | アッサム種に近い茶品種で、紅茶、半発酵茶の用途として開発された。アレルギーを抑制する可能性があるメチル化カテキンを豊富に含み、飲用することによって同カテキンを多く摂取できるとされ、商品化されている。 |
静7132(別名:まちこ) | やぶきた”の自然交雑実生から選抜し誕生。7132は当時の管理番号。春を思わせるような桜葉様の香りが特長の品種です。静岡県の清水区では別名「まちこ」とも呼ばれ販売。 |
また「べにふうき」は花粉症に効果があるお茶として有名になりました。
「べにふうき」はカテキン含量が多く、スクリクチニンと呼ばれる緑茶カテキンと同じタンニンの仲間と、メチル化カテキンという新たな成分を豊富に含んでいます。「やぶきた茶」には、このメチル化カテキンが含まれていません。
元々、古来から薬として活用されてきたお茶だけに、こういった健康効果がある成分を含んだ特徴的なお茶は魅力がありますし、多様な品種が生まれる事でそれぞれ異なった効果も期待できるかもしれません。
静岡茶の新品種をご紹介
やぶきたが優れた品種であり、全国から高く評価されている事は間違いありませんが、単一品種に一点集中する事により、摘採作業の集中や摘み遅れによる品質低下、お茶の風味の画一化等を招いているのではないかとの指摘もあります。
そこで近年、個性ある茶産地形成のために、香気・滋味に特徴があり、市場性が高い品種を育成する必要があり、様々な新品種の開発がされています。
例えば以下、静岡県茶品種普及協議会が県内各地で栽培に取り組んでいる新しい品種の育成マップです。
一部抜粋:静岡県茶品種普及協議会
一見、県内各地で数多くの品種が乱立しているような気がしますが、それぞれの地域で意味や目的があって各品種を栽培しています。
以下表の「今後推進すべき茶品種」の1~4をご覧ください。
一部抜粋:静岡県茶品種普及協議会
例えば新茶商戦において、お茶の生産ランキング第2位のライバル「鹿児島県」の「ゆたかみどり」に対応する使命を背負った品種が「山の息吹」・「さえみどり」・「つゆひかり」などの早生品種です。
例えば銀篭園がある牧之原市のお隣、御前崎市では全国有数の日照量と温暖な気候を活かして、萌芽期及び摘採期がやぶきたより二日程度早い早生品種である「つゆひかり」をブランド化しています。
(御前崎市の「まるよ茶屋」さんではつゆひかりを頂ける事はもちろん、「プリン」や「フラッペ」などのつゆひかりスイーツも提供されています。)
お茶だけでなく、農業においては如何にライバルと生産時期をずらすか(早く出荷できるか)が重要になります。
また3の「やぶきたとは明らかに異なる香味を持つ品種」の「香駿」も興味深いです。
前述の通り、全国が「やぶきた」一極集中なので、同じ土俵で戦っていては消耗戦になる事は目に見えています。
敢えて別の土俵に戦いの場を移すことで新たなニーズやマーケットを開拓し、活路を見出す方法です。
静岡茶もマーケティングの観点から見直してみると非常に面白く、育てる品種というものにも大きな特徴・傾向が見られると思います。
他にも2012年登録で緑鮮やかな多収性の晩生品種の「ゆめするが」や2013年登録で荒茶品質は一、二番茶とも、総合的に良好な「しずかおり」など新しい品種が続々と登場しています。
まとめ
今回は静岡茶の品種について、その現状や今注目されている新品種などについてご紹介しました。
静岡発祥の優良品種「やぶきた」が実質的なデファクトスタンダードとなっている現状ではありますが、それぞれのお茶の特徴や新品種など興味深い内容もありました。
もちろん同一品種であっても、育てる地域や栽培方法によっても味が変わってくるので、そこが奥が深い所でもあります。
静岡茶を飲む機会があったらお茶の品種についても気にしてみて、飲み比べをしてみても面白いかもしれません。
ぜひこちらも記事も参考にして、全国No.1のお茶の産地「静岡」でお茶巡りを楽しんでみて下さい!
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