日本一のお茶処・お茶の産地である静岡県ですが、他に全国各地に有名なお茶の産地があり、独自のお茶づくり・ブランド化が進められています。
そんな疑問にお答えすべく、静岡の元お茶農家のぎんろーが全国各地のお茶屋さん・お茶カフェを巡り、その特徴や違いをご紹介します。
こちらのコーナーでは抹茶の一大ブランドでも有名な京都府「宇治茶」にフォーカスしてご紹介します。
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京都 宇治「中村藤吉 宇治本店」とは
今まで数多くの和カフェ・日本茶カフェを巡って来ましたが、今回のお店は他と一線を画すような圧倒的な存在感があるお店です。
平等院鳳凰堂をはじめとする観光名所が数多く存在する京都宇治。JR宇治駅を降りてすぐ、多くの観光客の目に触れる場所に古風な歴史を感じる建物のお茶屋さん「中村藤吉 宇治本店」さんがあります。
一見して「只者ではない」と思わせるこの建物、それもそのはず、なんと国の「重要文化的景観」に選定されています。
歴代当主が守り続けた家屋は、明治期を代表する茶商屋敷や茶工場建物を今に伝える建物として平成21年、「国選定重要文化的景観」に選定されています。
また、近くには100年以上続く茶生産農家でもあり、伝統的な茶農家建築を残す「京都宇治茶房 山本甚次郎」さんもありますので、宇治茶の歴史を探訪する際には併せておススメです。
宇治茶の生産農家で、京都宇治茶房山本甚次郎の山本さん父子、お世話様でした。宇治碾茶(てんちゃを挽くと抹茶になる)農家の厳しい現状に、品質で勝負するという信念が素晴らしい❗❗日本最古の乾燥炉も見学させていただきました。@まいまい京都 pic.twitter.com/9m8AXdTi4c
— myaon@四条ぬこ (@myaon4nyan) September 23, 2016
そんな歴史的にも価値がある「中村藤吉」の歴史は、長い鎖国の時代は終わりを告げようとしていた幕末、1854年(安政元年)に遡ります。
茅葺き職人の家に生まれた4番目の子供(次男)は藤吉と名付けられ、後に中村藤吉を名乗り、茶商を創業します。新しい時代の予感のなか、藤吉は時代の波に乗って商いを広げることに成功していく事となります・・・が話が長くなりすぎるので詳細は公式HPをご覧ください。
中庭の奥にあるカフェが入る建物は、元々は製茶工場だった場所でこちらも非常に趣があります。そんなカフェで頂けるのは宇治抹茶を使用した「生茶ゼリィ」や、屋号である「まると」のマーク型に抹茶を彩った「まるとパフェ」などの甘味はもちろん、茶蕎麦や抹茶うどんなどの食事メニューも充実しています。
「中村藤吉 宇治本店」のアクセス
JR宇治駅を出て道を渡り真っすぐ100Mほど進むとお店へ突き当ります。駅前という非常に好立地で迷う事はありません。
屋号である「まると」の暖簾が目印です。
駅前という好立地と、歴史的建造物という事もあり、他のお茶屋さんに比べて外国人観光客の方も非常に多いのがお店の特徴です。印象的には約半分くらいは外国の方のような印象を受けました。
外国の旅行ガイドブックなどにも掲載されているのかもしれません。もちろん従業員の片も対応慣れしていて、英語での案内もされていたのを耳にしました。
お店へお邪魔します
玄関をくぐって手前の建物が宇治茶関連の商品を販売しているショップエリアになっています。
やはりまずその建物の造りに目が行ってしまいます。居室との間に土足で歩ける空間である土間があったり、天井は歴史を感じる立派な梁があったりと重要文化的景観に選定されるだけあって非常に特徴的な内外観が興味深いです。
ショップ奥から入口を撮影。宇治茶とその関連商品が並んでいます。
本日のウェルカムティー・試飲は「ひんやり楽しむ水出し煎茶」「ひんやり楽しむ中村茶」の2種類が提供されていました。
水出し茶という事もあってか水色は薄めの黄緑でしたが、じっかりお茶の味は出ていて、夏の季節にピッタリな爽やかな煎茶です。
「重要文化的景観」に指定されたことを受けて宇治市が作成した、茶商屋敷に関する説明札が複数立っているのでそれを見て周るだけでも興味深く勉強になります。
続いてこちらが中庭で奥に見えるのがカフェです。立派な松の木があり、夏は涼しげな風鈴が飾られていました。
訪問した日は8月末の平日でしたが、30分~45ほどの待ち時間が発生するほどの人気店です。
カフェの入口には順番待ちの記帳台とオススメメニューが用意されています。宇治でも随一の人気店で、週末は1時間待ちなどはザラで180分待ちなどもあるそうです。
カフェの内部です。明治・大正期の製茶工場を改修したこちらの建物は工場跡らしく天井も高さがあり、温かみのある照明と、梁を活かして木を基調とした内装に仕上がっています。
こちらのテラス席はカフェ改修時に加えられたもので、中庭との連続性を上手に保っていて、こちらの席もまた趣があります。
「中村藤吉 宇治本店」のメニューは?
メニューのご紹介です。甘未は「生茶ゼリィ」や「まるとパフェ」などが人気のようですが、夏季限定の「宇治きん氷」や秋冬には「ぜんざい」などがメニューに加わります。
食事メニューも充実している点が特徴で「にしん茶蕎麦」や宇治本店限定の「茶の葉ごはん」など京都らしいメニューが用意されています。
もちろん「中村藤吉」の歴史の神髄、宇治抹茶や煎茶をシンプルに堪能する事もできます。
本日のオーダーは?
宇治本店限定:生茶ゼリィ(抹茶) ¥900
風情ある竹の器が美しい宇治本店限定の生茶ゼリィをオーダーしました。この生茶ゼリィは中村藤吉独自の製法で作られ、薄茶や濃茶で頂くような抹茶の味わいをそのまま閉じ込めたお茶のスイーツです。
それぞれこだわりの素材が使用されています。生茶ゼリィは自社の製造所で毎日石臼を使って挽いた抹茶を直ぐにゼリィへ仕上げており、上質な抹茶だけが持つ鮮やかで深みのある緑の色調が特徴です。
コクのある旨味と繊細な甘味は甘さ控えめで弾力があり、上品さを伴う豊かで爽やかな香気があります。
抹茶アイスは抹茶の旨味を余すことなく引き出した濃厚なオリジナルアイスで、氷の粒等は一切入っていないまろやかな口当たりが特徴的に感じました。
あずきは抹茶の風味を邪魔しないよう甘さが抑えられていて、白玉はもっちりとした柔らかい独特の歯ごたえがあり、アクセントとなっています。
セットで提供されているお茶との相性も良く、お茶そのものの品質も際立っています。
まとめ
今回は京都宇治「中村藤吉 宇治本店」さんをご紹介しました。
160年以上の歴史があるだけの事はあって、歴史を感じさせる建物の重厚さ・威厳に圧倒されっぱなしでした。
幕末の動乱期から宇治茶の衰退から復興、現在の抹茶ブームまで宇治茶の栄枯盛衰がフラッシュバックし、何となく宇治茶の歴史をのものを頂いているような、そんな不思議な感覚になるほどです。
ぜひ多くの方に現地へ行って、ご自身の目と舌で感じて頂きたいと思います。
「中村藤吉 宇治本店」の基本情報(駐車場・営業時間など)
住所 | 京都府宇治市宇治壱番10 |
電話 | 0774-22-7800 |
営業時間 | 銘茶売場 10:00〜18:30 カフェ 10:00〜18:30(受付終了17:00) |
定休日 | なし |
アクセス | JR宇治駅より徒歩1分 |
駐車場 | 無し(近隣にコインパーキング有り) |
MAP |
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