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【干し芋誕生秘話】干し芋が御前崎で生れたワケ【地理・気象的特性の視点から】

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干し芋が御前崎で生まれた理由を解説(地理的・気象的要因)

何事にも原因と結果がある。

干し芋の発祥地がここ静岡県御前崎周辺で、そこから全国に伝播した事実は先の投稿の通りであるが、そこには主に2つの地理的な要因が大きく関係している事をご存じだろうか。

それぞれ解説していこう。

目次

①遠州のからっ風

日本の各地方に吹く、特有の風というものがある。地方風や局地風と呼ばれるものだ。
例えば阪神タイガースの応援歌にもなった「六甲おろし」や東北地方の「やませ」などが有名だ。

静岡県西部(遠州地方)では冬季に寒冷で強力な西風が吹く。
いわゆる「遠州のからっ風」と呼ばれるもので、この風が良質な干し芋の製造に欠かせないものとなっていた。
なぜ、この地域で強烈なからっ風が吹くのか。調べてみた。

 

アジア大陸の東にある日本列島には、秋から冬にかけてアジア大陸から太平洋に向かって北西の季節風(モンスーン)が吹きます。
大陸からの季節風は基本乾燥していますが、日本海を流れる暖流の対馬海流の影響を受け、水蒸気を多く含んだ湿った季節風へと変化。
この湿った季節風により日本海側に大雪がもたらされます。

日本海側に大雪を降らせた季節風は、日本中央にそびえる日本アルプスといった3000メートル級の高い山地を乗り越えて太平洋側にやってきます。
その際、日本海側で水分を使い切ってしまい、太平洋側では、湿り気の少ない乾ききった空気になって、南アルプスから海に向かって吹き降りてきます。
この乾ききった北西の季節風を「遠州空っ風」と呼び、御前崎付近では10m/s以上の強風が吹くこともあるそうです。

http://rabico.cocolog-tnc.com/gmt/2011/09/post-f4ea.html 一部抜粋

つまり、大陸からやってきたモンスーンが日本海側で雪を降らせ水分が減少、日本アルプスの山越え気流(おろし風)が静岡県西部に吹き下ろす、という訳。

「日本の屋根」と呼ばれる日本アルプスからの自然環境、自然の恵みが干し芋の起源の1つの要因となった事は間違いないだろう。

②御前崎市は日照時間が日本一!

意外と知られていないが、なんと御前崎市は日照時間が日本一である。

気象庁HPによると、「全国気候表」に掲載されている主要154観測地点における日照時間の平年値は、御前崎市が2230.6時間で全国1位となっています。
また、浜松市が2207.9時間で全国3位となっており、静岡県内の観測地点が上位にランクインしています。

http://www.pref.shizuoka.jp/j-no1/nissyoujikan2.html 一部抜粋

全国トップの日照時間と、本州随一の温暖な気温で、特にサツマイモの育成には最適なロケーションであると言えるだろう。

鹿児島と静岡の共通点!?

ちなみにサツマイモの由来ともなり、現在でも圧倒的な生産量を誇る鹿児島も非常に温暖な気候という点で静岡との類似点が多い。
またサツマイモは水はけの良い土地、乾燥する天候が望ましいとされ、特にこの点においてシラス台地の排水性が適していたと言える。

ぎんろーも鹿児島県を訪れた事があるが、非常に静岡と似た雰囲気を感じた。
温暖な気候を利用した、お茶やみかんは双方の特産品で盛んに栽培されていて、
鹿児島の沿岸をドライブすると、ここは静岡じゃないか!?と思わせるような錯覚に陥る事があった。
富士山に桜島とそれぞれ有名な活火山もあり、伊豆や指宿など温泉も有名だ。

座礁した薩摩人が静岡人にサツマイモを伝授した事は、単に人助けのお礼というだけでなく、
どこか類似性やシンパシーといったものを感じたのかもしれない。

まとめ

以上、さつまいもの成育に適した環境であることは勿論、「干す」という加工の工程においても自然の恵みが存分に利用されていたという事です。

何事にもワケがあったという訳です。

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この記事を書いた人

日本最古級の干し芋農家『銀篭園』。
干し芋の発祥地『静岡』で江戸時代から12代続く伝統農家です。
こだわりの干し芋を心を込めて皆様にお届けします。

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