猛暑もひと段落して秋も深まってくると、スーパーの野菜コーナーにはさつま芋が並び、店頭には焼き芋の販売コーナーも目に付く事が増えてきます。
さつま芋好き、干し芋好きの方々は楽しみな季節なのではないでしょか。
今回は日本最古級の干し芋農家ぎんろーが、美味しい干し芋を買うのはどの時期がおすすめなのか、また干し芋はいつからいつの時期まで販売されているのか、生産者の視点から解説してみたいと思います。
また一般的にメインシーズンとなる冬以外に干し芋が食べたい場合に購入する方法をお伝えします。
干し芋農家としての経験を踏まえる事はもちろん、今まで以下レビュー記事を作成する過程で、各メーカーから発売されている干し芋商品を約50種類ほど購入しています。
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干し芋農家が解説!干し芋の旬の時期・シーズンとは
さつま芋の収穫~干し芋の加工時期
干し芋のシーズンを知るためには、先ずその原料となるさつま芋の収穫~加工までの時期を知る必要があります。
地域差の違いはありますが、日本では一般的に春~初夏にさつま芋を植え、温かい九州などでは9月中旬頃から収穫が始まり、10月中には本州でも収穫が終わる事が多いです。
元々、温かい地域が原産のさつま芋は気温が下がり寒くなると腐ってしまいますので、この位の時期が目安となります。
では原料のさつま芋が取れ、直ぐに干し芋加工が始まるかと思えばそうではありません。
干し芋にお詳しい方はご存じかと思いますが、さつま芋は一定期間『寝かせる』事で糖度が増し、また品種によってはネットリとした食味に変化していく、いわゆる『糖化』という現象が起こります。
下の図をご覧ください。
さつま芋の代表的な品種である、紅はるかを例に挙げ、時間の経過と共に甘味や肉質がどう変化するかをグラフに表したものです。
品種によって差はありますが、いずれも10月の収穫から約2ヶ月経った12月頃までに急激に甘さが増していく過程がお分かり頂けると思います。
これはさつま芋のでんぷん質が糖化していく事で糖度が増すと共にネットリとした食味になっていく現象です。また時間を経る事でさつま芋中の水分が蒸発して抜けていく中で糖分が凝縮されていきます。
つまり収穫後、2ヶ月程度経過して十分にさつま芋の甘味がのった状態ではじめて干し芋の加工が始められる訳です。
という事は9月~10月にさつま芋を収穫し、その後2ヶ月ほど糖化を待ってから加工作業に入る為、どれだけ早くても加工開始は11月頃となり、皆さんのお手元に届くのは12月初旬頃になるという訳です。
さつま芋の糖化は諸条件によって進行が速くなったり、遅くなったりしますが、一般的に外気温が低下(10℃~15℃)するほど糖化が早いと言われています。(さつま芋が寒さから身を守るために主成分のでんぷんを糖に変える。)
その為、収穫からできるだけ早いタイミングで加工したいさつま芋は早い糖化を促す為、気温が低い場所を選んで保管します。
その一方で1月~2月にかけて遅いタイミングで加工を予定しているさつま芋はゆっくり糖化させる為、寒くなり過ぎない一定温度以上で保存します。
干し芋がスーパーやコンビニで売られている時期(いつから・いつまで)
9月~10月頃から店頭に並び始めるが注意事項あり
前述の通りさつま芋の収穫時期は9~10月頃ですが、さつま芋の糖化には概ね2ヶ月程度の時間を要する為、干し芋の加工開始は12月頃が目安となります。
それでも秋本番の9~10月頃にはスーパーなどの店頭に干し芋が並び始めます。
これはどういう事かと言いますと、前年に収穫し、冬~春に掛けて加工された干し芋が販売されている可能性が高いです。
干し芋加工時の衛生環境や保管技術の向上によって、干し芋の保存期間は昔に比べて大幅に伸びています。
一定の低温環境下で上手に保管しておけば半年~1年程度は味や風味が落ちる事は無く、むしろ熟成される事で滑らかでねっとりとした食感に変化していく傾向が見られます。
秋になり店頭にさつま芋が並び、メディアでも秋の味覚としてさつま芋が取り上げられるシーンも増えてきますので、ならば干し芋を購入したい、というお客さんも増えると思われます。
そしてそのニーズを満たすために秋の早い時期から昨年製造の干し芋が並ぶという訳です。
その年に収穫されたさつま芋を使用した干し芋が発売されるのは12月が目安
ではその年に収穫された干し芋を食べたい場合はいつ購入するのがベストなのでしょうか。
どの作物、農業加工品でも同様だと思いますが、干し芋業界でもそれは同様で、その年の初物は皆が注目しています。
その年を占う意味でも重要な位置付けとなりますので、初物が出回り始める12月前後はぜひ注目して頂きたいと思います。
パッケージに製造日の記載があれば、その干し芋が昨年作られたものなのか、今年作られた干し芋なのか判断が付きますし、仮に記載されていなくても、『新物』などのシールが貼られているケースもありますので、特に11月下旬~12月の時期はこの部分に注目してみて下さい。
さつま芋が十分に糖化する年明け1月以降が本格干し芋シーズン
冒頭でご紹介した通り、本州でのさつま芋の収穫時期は10月頃が目安になり、その後2ヶ月の糖化期間を経て加工となります。
つまりその年のさつま芋を使用した干し芋作りの本格シーズンは年明けの1月からという事になります。
銀篭園のある静岡の西部では冬のこの時期になると『遠州の空っ風』と呼ばれる季節風が吹きます。
以前干し芋の起源についてご紹介した記事でも記載しましたが、この乾燥した北西の季節風が干し芋の乾燥に大きく貢献しました。
1月頃になると干し芋生産が盛んな地域では干し芋の干し棚が設置されたり、ハウス内で干し芋を乾燥させる風景が広がります。
人気生産者の干し芋は2月頃までが勝負!それ以降は品切れも
メディアでも紹介されるような人気店の干し芋は2月頃を目途に品切れが出始めます。
ひたちなか・東海・那珂ほしいも協議会が主催し、毎年開催している『ほしいも品評会』で上位入賞した生産者さんの干し芋は特に人気ですぐに売り切れてしまいます。
干し芋農家が教えるシーズン時期以外で干し芋を購入する方法と注意点
ここまで主に干し芋のシーズン・最盛期に関してお伝えしてきました。
では冬を中心としたこのシーズン以外は干し芋は購入できないのかと言えば、もちろんそんな事はありません。
干し芋生産が終了し、店頭から姿を消しがちな春~夏の時期に干し芋を購入する方法と留意点に関してご紹介します。
インターネット販売(AMAZON/楽天など)やフリマサイト(メルカリなど)で購入する
最も簡単に購入できる方法がインターネットでの購入です。最近ではメルカリなどのフリマサイトでの販売も増えてきました。
冬のシーズンよりは購入できる商品が少なくなっている傾向はありますが、確実に購入できます。
また5月初旬の母の日から9月の敬老の日まで干し芋のギフトセットが販売されていますので、こういった季節の行事のプレゼントとしてもおススメです。
実店舗で買うならどこで購入できるか
一方で現物を見て購入したい方もいらっしゃるでしょう。
秋~冬、春先にかけて店頭に並んでいた干し芋も温かくなるに連れて姿を消してしまう傾向にあります。
しかし一部店舗には通年通して干し芋が店頭に並ぶケースがありますのでご紹介します。
(1)茨城県のアンテナショップ『イバラキセンス』(東京都)
銀座にある茨城県のアンテナショップ『イバラキセンス』さんは一年を通じて干し芋が店頭に並んでいます。
最盛期である冬季に数十種類以上の干し芋商品がズラッと並ぶ光景はまさに干し芋の中心地と言えます。
夏の時期を中心に干し芋のラインナップは減るそうですが、それでも複数種類の干し芋を販売しています。
(2)成城石井(全国各地)
関東地方を中心に中部地方、近畿地方に店舗を展開する『成城石井』さんでも通年干し芋が店頭に並んでいるケースが多いです。(全店舗回って確認はしていませんのであくまで目安です。)
こちらの記事でご紹介した通り、数種類程度のラインナップがあります。
夏こそ食べて欲しい冷やし干し芋(冷蔵・冷凍)
最近は健康食品として注目されている干し芋はダイエットや筋トレをする皆さんの強い味方。健康を意識する方は日頃から食生活に取り入れている方もいらっしゃるでしょう。
そんな皆さんにぜひ食べて頂きたいのが、冷凍もしくは冷蔵した干し芋。
多くの干し芋は解凍してすぐ食べる事が出来ますし、暑い夏にはアイス代わりに食べても非常に美味しいです。
前述の通り衛生技術や保存技術が進歩し、通年通して購入する事ができる干し芋はぜひ通年通して食べて頂きたいです。保存方法に気を付ければご家庭の冷凍庫でも十分に干し芋を通年保存する事が可能です。
以前こちらの記事でご紹介した通り、保存方法を意識して頂き、ぜひ一年通じて干し芋を召し上がって頂ければと思います。
まとめ
ここまで干し芋農家の視点から干し芋のシーズン、購入のタイミングに関してご紹介してきました。
農作物は豊作の年と不作の年が必ず存在します。
例えば2020年はさつま芋が大きく成長する夏の時期に天候不順(前半は日照不足、後半は水不足)が発生し、銀篭園がある静岡はもちろん、全国的にもさつま芋の収穫量が減ったシーズンでもありました。
その年によって収穫できるさつま芋は異なりますので、そのさつま芋を原料にして作る干し芋もまた年によって変化があります。
つまりその年に作った干し芋と完全に同一の干し芋を作る事は不可能とも言えます。
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